HACCP(ハサップ)とは?

当事務所からのお知らせ

※当記事は,当事務所の旧サイトから本サイトへの移行の為転載したものです。
※本記事は2020年06月10日に書いた記事です。
こんにちは。タイトルのHACCP(ハサップ)をご存じでしょうか?聞きなれない方が多いと思いますが本日こちらをご紹介してまいりたいと思います。


HACCP(ハサップ)とは?
HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。また、衛生管理を「見える化」するものです。

この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。

と、厚労省のHPでは書かれています。

分かりやすく言うと、食品の安全を脅かすハザード(食中毒菌など)が混入するリスクを、作業工程を整理し分析することで見つけ出し、そのリスクを工程管理によって取り除き、衛生水準を改善し維持していくための管理手法で、危害分析の“Hazard”、“Analysis”と重要管理点の“Critical”、“Control”、“Point”の頭文字を組み合わせてHACCPと呼びます。

Hazard ⇒危害
Analysis ⇒分析

こちらは「危害分析」のことで、食品の原料から出荷までの各工程で可能性のある危害要因(異物混入や微生物の汚染や増殖)を特定し管理することです。
Critical  ⇒重要(必須)
Control  ⇒管理
Point  ⇒点

こちらは、食品安全にとって特に重要な工程は管理基準を設定し管理する。一般的衛生管理の実施:食品の安全確保の基礎的な部分になります。

以上の頭文字をとって「HACCP(ハサップ)」といいます。

HACCPを導入すると、材料納品以後からお客様に製品や料理が提供されるまでのプロセス(工程)を整理し、そのプロセスの中から食品が食中毒菌によって汚染されたり、異物が混入したりするリスクを分析し管理する。そしてその分析結果から得られた情報から危害要因を取り除くため、重要な工程(加熱処理など)を重要管理点(上記のCCPの部分)として設定し、科学的根拠をもとに管理するための基準を作るのです。

一言でまとめると材料からしっかり管理して食中毒や異物混入も出さないようにして安全にお客様に提供するために行うわけですね。

また、HACCPでは7原則12手順に基づき、管理基準が定められ、正しく実行されているかを監視・記録する。もしうまくいっていない場合には管理の仕方に改善を加えることで、継続的に衛生水準を維持し向上させていくことが可能となります。

なお、HACCP自体は、宇宙飛行士の宇宙での食事の安全性を確保する為に始まったとのことです。

HACCPの義務化が決定しています!

対象となる事業者は2021年6月までにHACCPを導入しなければならないことになりました。改正食品衛生法で、以下重要な部分を抜粋しました。

1.広域的な食中毒事案への対策強化 国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。

2.HACCP(ハサップ)*に沿った衛生管理の制度化 原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。 * 事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進められている。

3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集 健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。

4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備 食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。

5.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設 実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。

6.食品リコール情報の報告制度の創設 営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。

7.その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)

食品関連事業者遅くとも2021年6月までにHACCPによる衛生管理制度の導入を行わなければなりません。
HACCPを導入しなければならない事業は?
食品製造業
食品加工業
食品販売業
食品調理業
飲食店
畜産業
食鳥処理場
メーカー事業
食品保管
食品運搬

となっています。重要なのは、食品の製造・加工・調理・販売などを行う全事業が対象で、大手だけではなく、レストランやカフェ、居酒屋などの小規模事業者も対象になります。

小規模事業者の規模に関しては、

「食品の製造又は加工を行う者のうち、一つの事業所において、食品の製造及び加工に従事する者の総数が50人未満の事業者」

となっています。上記以外が「一般事業者」となります。

HACCPの対象となる業者は、フードチェーン(ある食品において、一次生産(原材料の生産)からエンドユーザーによって消費されるまでの食品供給の流れのことを構成する食品の製造・加工、調理、販売などの食品を扱うすべての業者です。食品衛生法では、営業するのに許可が必要な許可は34業種ありますが、、HACCPは食品衛生法では許可が必要ないすべての業種も対象となります。

HACCPに基づく衛生管理、と、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

基準A(HACCPに基づく衛生管理)は「7原則12手順」によって導入されたHACCP方式による衛生管理を行うことを指します。一方の基準B(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)はHACCPの考え方に基づいて可能な範囲で衛生管理を行うことです。

今は、

基準Aのことを「HACCPに基づく衛生管理」

基準Bのことを「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」

として分かれています。言い方は違いますが基準Aも基準Bも中身は今も変わりません。

ここで先にお伝えすると、小規模事業者以外の「一般事業者」は基準Aを導入する必要があり、小規模事業者は基準Aか基準Bのどちらかを導入することができます。

HACCPに基づく衛生管理の中身は以下になっていまして、これが「7原則12手順をもとにした基本のHACCP」になります。

※順番に管理を計画していくことになります。

①HACCPチーム編成

②製品説明書の作成

③用途及び対象者の確認

④製造工程図の作成

⑤製造工程図の確認

⑥危害要因の分析

⑦重要管理点(CCP)の設定

⑧管理基準(CL)の設定

⑨モニタリング方法の設定

⑩改善措置の設定

⑪検証方法の設定

⑫記録の文書化と保管方法の設定

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の中身は以下になっています。これは上記の「HACCPに基づく衛生管理」の簡易版のようなものです。基本のHACCPが実施困難ところ向けの簡易的なものということです。

①機器取り扱い手順書の作成

②製造工程図の作成

③危害要因の分析

④重要管理点(CCP)の発見

⑤管理基準(CL)の設定

⑥モニタリング方法の設定

⑦観世院措置の設定

HACCP導入をしないとどうなるか?

明確に罰則は決められていませんが、厚生労働省のHPによると、HACCPを導入していないことでも行政指導の対象になります。そして改正食品衛生法に「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。」という条文があることから罰則の可能性もあります。

怖いのは、営業停止や営業許可証の更新ができないことだと思います。

HACCPを導入するメリット、目的は?

HACCPは、食品を製造する工程でどのような食品汚染の危険があるのかを事前に予知し、その危険を回避するために行うべき対策を決定して、実際に行われた管理を記録することです。これによって食品汚染が生じた場合に、どの工程で汚染が生じたのかを明確化することができます。

そして、検証により管理方法にどのような問題点があったのかを再分析し、より良い管理方法を見出すことにつながる効果が期待できるというわけです。

HACCPは、科学的に実証された各工程の厳密な安全管理方法が実行できなかった商品は、汚染の危険があると考えられて未然に流出を阻止することができます。そのため、原因と責任の追究も比較的容易に行うことができるのです。

HACCPを導入するメリットとしては、食品衛生の確保や国際取引での要求に応じることができる点、各業者の衛生管理意識を高められる点が挙げられます。自店舗のブランディングにも有効だと考えます。HACCPの導入には、衛生管理に関する専門知識を持つ人員がチームを編成する必要があります。これにより、各業者内で研修会などを利用して知識のある人を育成する必要が出てくるため、担当者が衛生管理意識を変え、他の従業員も変わりと、技術の向上が期待できるのです。

以上、いかがでしたでしょうか?ぜひ飲食業や食品に関する業種をされていらっしゃる事業者様は義務化が遅れないようにしていきましょう。

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東別府拓真行政書士法務事務所
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