非正規社員、正社員の待遇格差についての裁判

非正規社員と正社員の待遇格差についての裁判で、企業側の判断が不合理とは言えないという結論が出ましたね。
 これは、契約社員として駅の売店で10年ほど働いたのに退職金が出ないことはおかしいという裁判と、大学でアルバイトの秘書として2年ほど仕事(原告側としては正社員と実質的に同じ仕事もしていた)をしたのにボーナスが出ないことはおかしいと思うものでした。

 最高裁の見解としては
・仕事内容はおおむね一緒でも責任の度合いが違う(例えば従業員に欠勤がでたら対応しなければいけない)
・正社員の登用制度もあった(そもそも正社員に登用してもらえたらよかったんじゃないかという意味合い)
・ボーナスや退職金の目的は「正社員としての職務を遂行しうる人材の確保を図る目的がある」ことだから、労働契約を交わすことにボーナスや退職金の規定がなかった場合は企業側の意見は不合理とは言えないとのこと。でした。

 契約ごとに関しては、法律に反しない限り当事者で自由に決めることができますが、このお仕事をされていた2件の裁判の方々は、契約社員やアルバイトを心から希望していたのでしょうか。現在雇用されている方のなんと4割の方は非正規労働者となっていて、正社員などの待遇がいい雇用契約を交わすことができない方が大変多くなってきております。

 非正規雇用の労働者は正規雇用の労働者の35%ほどの年収しかないそうです。今は契約社員アルバイト、派遣社員などの非正規労働者が多いですが、正社員としてボーナスがあり、退職金がでて年収に非正規雇用の状態よりも反映される状態を希望される方の方がおおいと思います。もちろん一部の方は非正規雇用を選ばれる方もいるでしょうが。

 上記のボーナスや退職金の目的が正社員としての職務ができる人材の確保という目的もあるでしょうが、このままでいくと非正規雇用の方々はボーナス、退職金がなくますます正規雇用労働者との所得格差につながるでしょう。

 資本主義経済だから、正社員などの待遇がいい仕事につけるように学歴をつけたり、資格を取得したりして自ら道を切り開いていかなければならないという意見も拝見しました。しかしそれでも現状働き手の4割の方がすでに非正規労働者であり、現代社会ももはや非正規で雇用ですることが大変多くなってきております。この4割の方の所得格差をなくすためにはボーナスや退職金について裁判所からもっと前向きな意見が聞けること、所得格差を少なくするための法改正を願います。

以上が当方の思うところでありました。

東別府拓真行政書士法務事務所
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